📖読書『鷺と雪』と ❄️💂ニ・ニ六事件



雪の降り積もる国会議事堂の上を

真っ白い 一羽の鷺が飛んでいる


美しい青い表紙は

2009年の直木賞作品


『鷺と雪』



昭和初期 

公爵 侯爵 伯爵 子爵…男爵

などの貴族身分制度がまだ日本に在る頃

主人公の侯爵令嬢お付きの運転手

別宮(べつく)みつ子さん コト

ベッキーさんが謎を解く


ベッキーさんシリーズの3部作の

最終巻





私は…

最初の2巻の存在を知らずに

イキナリこの巻を読み


やはり前作、前々作も読んでからにすれば良かったかと 少々後悔…




しながらも 読み進め


中身3編からなる この巻は


実際に有ったという


華族制度の中にいる心優しき子爵が

謎の失踪をする事件から始まる


華やかで裕福そうに見える華族制度の中にも一つ身分が違うというだけで

かなりの心の葛藤が垣間見える話



そして


二つめの編では

日本橋三越入口の壁にある


「ライオン像」がモチーフとなり


「受験生が…誰にも見られずにこの獅子にまたがるコトが出来れば念願が叶う」

という

都市伝説にまつわる話で






最終章は


恐らく最初の巻からずっとここへ向かい

繋がっているのだろうと考える

昭和史の1ページに残る物語


世界恐慌からの煽りを受けて 不景気になり

都会と地方農村との

経済格差などの

日本の社会情勢の悪化の流れから…



雪の降る日に

陸軍青年将校らが

クーデターを起こす



心に残る

ラストシーン



主人公が本を貰ったお礼に

想いを寄せる青年将校に

腕時計を送ろうと


銀座にある『服部時計店』に電話を入れる






ところが

なぜか 電話に出たのは 青年将校



二・二六事件は


襲った首相官邸の電話線を

一本だけ残し全て切ったそうで


残ったその回線が

服部時計店の番号と酷似していたから

「服部時計店ですか」という間違い電話が

実際に多かったそう…





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ミステリーといっても

穏やかな筆調で


物語を通して 

ベッキーさんの積み重ねるコトバの

一つひとつが



主人公の令嬢を聡明な

大人の女性へと育てていく


日本橋三越や

銀座服部時計店など

現存の建物が登場するのも感慨深い


当時の華族の

上流階級の暮らしを知るのも

興味深くて




ニ・二六事件を

勉強し直すキッカケにもなる本でした