📖読書『五十坂家の百年』



『五十坂(いさか)家の百年』


斉木香津 著



『カムカムエヴリバディ』は






安子、るい、ひなたへと…

三世代の女性たちが紡いでいく 



100年のファミリーストーリー…







爽やかな物語だった



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けれどこの『五十坂家の百年』は


家系図の祖先が「人喰い」から始まる



ちょっとおどろおどろしくもある

ミステリー





「人喰い」とは

本当に人を食べた…というワケでは無く


江戸時代の終わり頃…

とある家の双子の 内の一人が

質屋を家業とする家に 養子に出され

その養家で虐待を受ける



性格がねじれ 養父母が亡くなり

後を継ぐと高利貸しとなり


たくさんの人々から

家や土地を奪うようになる



武家屋敷に住む 元家老から

家を奪い表札をその家老の目前で自ら作った名字の

「五十坂」と掛け替えたら 家老がその日の内に命を断った

その時から この祖先は「人喰い」と

あだ名されるようになる




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誰もが憧れるような

市の指定文化財に登録されるほどの

武家屋敷に住んできた人たち




時は平成のある日

その武家屋敷「五十坂」家を ずっと守ってきた70歳を過ぎた双子の姉妹が手を繋いで崖から飛び降り自殺をした




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そうして


その原因を探るように



大正12年生まれの 

主人公の曾祖父

(自殺をした双子の姉妹の父)から物語は始まる








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メインの語り手主人公は

平成生まれの

この父から見て 曾孫の少女



事件解明の為のもう一つのストーリーが

交互に流れていく




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読み進めていくと

決して おどろおどろしくはなかったです




近年テーマになる

マイノリティーや 不登校についても

考えさせられる物語




おおや・ひろこさんの解説のコトバをお借りすると




「昭和初期の旧家の悲劇と

昭和後期の青春小説が一つになる物語」





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印象に残ったコトバ



「人はだれでも、生まれながらに不幸を背負っている。


不幸は、自分のことをだれかにわかってもらいたいと思った瞬間からはじまる。




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当たり前のコトかもしれないけれども

自己中心的な生き方や

人を傷つけるコトバを軽はずみに放つと


最後はこうなるよ…と

思い知らされます



大正12年生まれなら義父もまた

同じ年

どの家庭にも百年の物語は存在する

もちろんわが家にも…



その家庭に

過去何があったとしても

今を生きる若い人に希望の光を見ることができ


未来はきっと明るいよ と思えた





とても読み易いからあっという間に読めました


流れるテーマは一つでは無いから読み応えもあり




最後はきっと優しい気持ちになれる



…かな